ハイ・コンセプト
現実を分析して「ホラ、危ないよ」と言う人は星の数ほどいても、それに対してどう立ち向かうか、対処するかという具体的な回答を出してくれる人はこの人が始めてだ。きっと、この先この手の本が雨後の竹の子の如く出現する。間違いない。
つまりは、これからは「左脳的ワーカーではなく、右脳的ワーカーである」というような。本書の読まれ方を少し調べてみると、やはりというか「デザイナーである私は…」といったような感想が見られる。この手の解釈もこの先流行る。間違いない。
間違ってはいないのだろうけど、「著者は右脳思考をせよ」と言っているのではなく、「右脳的要素も取り入れて全体思考せよ」と言っている。つまり、高度な左脳的分析思考を持った上で、右脳的な思考をも取り入れよ、と。でなけりゃどうして右脳だけで先進国の労働者が中国やインドのナレッジ・ワーカーに先んじられると言える?
著者は、今世界で起こっている現実を、事実・経験に基づいて収集、分析し、そこから導き出す現状の認識はあくまで著者の直感であり、直感に基づいて証拠を再編集・解釈・検証する。そういった意味では、著者は本書の内容を忠実に実行しているともいえる。左脳で分析し、右脳で組み立てる。
『ヤバいぜっ!デジタル日本』で高城剛も割と近いことを論じている。
右脳と左脳は車の両輪。ホントにそう思う。
『ハイ・コンセプト』 ダニエル・ピンク(大前研一 訳)