面白半分

ブログの内容は個人の感想、バイアス満載。異論しか出てこないようなことを書いてます。あと、文章を書く練習中。

マーケット感覚の話

友人と話している時に、共通の知人である手芸作家の友人の話になった。
彼女(作家)の作品は人形やアクセサリーが中心で、センスも腕も悪くはない。そして彼女からはときどきビジネスのアドバイスを求められたりするのだが、実用性の話をせざるを得なくなる。もちろん作家さんであるので、作家としての「作品」性を無視しているわけではない。
例えば『「カバン」としての用途を満たした上で、その機能をかわいく装飾している所に作家性が出ればよいと思うが、ただの「かわいい人形」に数千円払える人はあまりいない』とか『猫のモチーフが好きなのはわかるが、猫のアクセサリーよりもまずTシャツとかトートバッグとかそういうライトな商品も始めては』とかそういった内容なのだが、どうもこれが相手に聞こえてない、というのが我々の見解だった。聞き入れてもらえないとか、聞いてない、ではなく「聞こえてない」という表現がどうも近い。
私はこの話をしたときに、実ビジネスでも全く同じ場面に遭遇したことを思い出した。放送局と作っていたあるCGソフトを商品としてパッケージ化しようと、マーケ担当として開発チームとプロジェクトをしていた時のことだ。
開発リーダーの人が中心のプロジェクトで、彼の主張はこうだった「企業の社長が自社の売上や店舗数の増加等をかっこいいCGで作ってプレゼン資料に貼りたいはずである。そのニーズに対して1本200万で売る。」冗談かと思ったが彼は本気だった。本気でプレゼン資料に貼るためのかっこいいグラフィックス作成のために200万払う客がいる、売れると言うのである。
私は感情的なニーズを否定しない。かっこよくありたい、こう見られたい、ステータスを上げたい…。だけど感情的なニーズはまず機能を満たした上でそこに付加されて始めてかっこいいと言っていいと思うのだ。彼にこの話は「聞こえ」なかった。「作り込まれた絵」「頑張った感」に感動する観客もいるのだから、そういう感動を演出したい社長には売れる、という話を聞かされた。そんな演出に200万払うならPhotoshopで十分だ。
手芸作家、開発リーダー。これらをマーケット感覚の欠如と呼ぶかそれとも彼らの目には別のマーケットがしっかりと見えているのか。たぶん前者なのだけど、あまりにも無垢に自信満々なので後者のように錯覚してしまう。そして共通して市場の話が通じない。どう説得してこちらのプランを飲んでもらえばいいのだろうか。答えはまだない。